20th cent. Scandinavian design
トップページに戻ります。メインページ
ご注文はこちらからどうぞ。メールです。お気軽にどうぞ !!

13th floorの



数多いStig Lindbergの作品の中でも、特にお互いに深い関係にある 「ADAM」と「EVA」。
ロマンチックな名前をもつ2つのテーブルウェアですが、どのような違いがあるのでしょうか。
何年もかけてやっと実現した夢の観察です。どうぞお楽しみください。


ADAM
& EVA

(小さな画像をクリックしてご覧ください)

全く同じ形のカップ&ソーサーに異なる絵柄を施されたテーブルウェアシリーズであるADAMとEVA。
名が表すとおり、これら2つのシリーズはお互いがあることでのみ自身が存在できる珍しいものです。
インディゴブルーのドットが並んだADAMに対して、赤い一面のバックから同じ絵柄が白く抜けたようなEVAという、いわばネガとポジの関係にある同じ意匠のデコレーションです。




全く同じ形のJosefineとMatildaですが、デザインされた年はそれぞれ異なります。
Josefineが1960年、そして3年後にMatildaが発表されてました。
いずれも青を基調とした色合いの釉薬でデコレーションされていますが、それぞれ個性的な雰囲気を持っています。
カップ&ソーサーのみデザインにされたJosefinに対して、Matildaはテーポットをはじめシュガーポット、ランプシェードなどいくつかのバリエーションがつくられました。
Matildaは藍色の釉薬を筆で大胆に手書きされていて日本の陶芸を連想させる作風となっています。ティーポットにいたってはまったく急須そのものの形で寒竹の持ち手を使うなど、デザイナーの日本の陶芸への思い入れが感じられます。



それぞれのソーサーにマウスカーソルを重ねてご覧ください。

フォルム


JosefineとMatildaを見るとき、まず下の方がぷっくらとした女性的な形状のカップに目がいきます。
チューリップの花のように口がすぼまった壺のような形は、コーヒーを飲む時に唇のあたる角度も良さそうです。
容量も程よい大きさで、コーヒー好きには嬉しいサイズとなっています。 後ほどご紹介するシュガーポットと全く同じ形が使われていて、量産化を意識したデザインがされています。

カップ裏のマークはそれぞれ異なります。
Josefinのカップにはお馴染みのGustavsbergのトレードマークとシリーズ名が入れられた簡素のもので、中にはマークがないものもあるようです。
一方、Mtildaにはシリーズ通して専用のマークがデザインされていて、カップの裏側にも誇らしげに入れられています。
シンボルである錨を中心に大きく配し、周りを円形に囲むように社名と国名、そして「LISA LARSON STUDIO 」と記されています。

(画像をクリックしていただくと、大きな画像がご覧いただけます。)





次にソーサーを比べてみましょう。
ぷっくらとした形で実際よりも厚みを感じさせるカップに比べ、ソーサーは薄くシャープな印象をうけます。
いずれも目立った絵柄はなくすっきりとしたソーサーです。Matildaは絵柄と同じ色の紺色1色で塗られ、Josefinのソーサーはカップ薄い青にカップの縁取りと同じように少し濃い青で縁取られています。
裏面にはそれぞれ刻印がありますが、カップの場合と反対にJosefinには社名と大きめにシリーズ名があり、Matildaにはどのシリーズにも見られるシンボルマークと社名が紺色の釉薬に埋もれて見えない程度に入っているのみとなっています。

(画像をクリックしていただくと、大きな画像がご覧いただけます。)



カップとソーサーを別々に見ていると、カップの個性ばかりが気になってしまいますが、組み合わせて見みると、お互いが相手の個性を程よく補い合ってセットとしてのバランスが保たれています。
カップが丸いステージにのせられているようで、自然にカップに注目させられますね。 じっと見つめていると、カップの絵柄が浮き立ち、より立体的に目立って見えませんか。
他のLisaの作品同様にテーブルウェアもまた、見ればみるほどに好きになってくるなかなか奥深い作品になっています。
JosefinのあとMatildaを手がける際に、あれ程までに自由に形をあやつるLisaがこのカップの形に全く手を入れなかったことを考えると、このモデルの造形は彼女の中で完成され、自信があるものだったのでしょう。

(画像をクリックしていただくと、大きな画像がご覧いただけます。)






デコレーション


いずれのシリーズも薄い青の釉薬が全体にかけられ、絵柄は濃い青で描かれています。
Josefinの絵柄は植物の一部分の様な文様が並びますが、はっきりとしたものではなく全体として淡い感じです。
一方、Matildaは全体を覆う薄い青の釉薬は同じですが、絵柄ははっきりとした紺色でカップ全体に力強く手書きで描かれています。
絵柄の種類はJosefinは1種類ですが、Matildaについては右の写真のように塗りつぶした大きな丸が並ぶ柄が基本となっているようですが、この柄以外にもアイテムによって異なる柄が描かれています。

(画像をクリックしていただくと、大きな画像がご覧いただけます。)

 

 

バリエーション
Josefinはカップ&ソーサーのみつくられましたが、Matildaはティーセットを中心に数種類のアイテムがつくられました。
どれも丸みを帯びたデザインで、Matildaという名前のイメージがシリーズ全体を包み込んでいます。
そのアイテムの種類は、カップ&ソーサー、ティーポット、シュガーポット、クリーマー、お菓子を入れるのにぴったりの器といったティーセットを中心に、ペンダントランプのシェードや、なぜか胴長のブタの形をしたキャンドルスタンドと種類は少ないものの十分に楽しませてくれます。
Josefin、matilda共に非常に入手困難となっており、今回すべての種類をご覧いただけないのが残念ですが、Matildaという名前からいつか出会えるかもしれないそれらの姿を想像してみるのも楽しいですね。

(画像をクリックしていただくと、大きな画像がご覧いただけます。)



今回、Lisa Larsonの2つのテーブルウェアを見てみきましたが、これほど彼女らしく魅力的なテーブルウェアを作れるのに、なぜ彼女は1963年以来テーブルウェアのデザインを手がけなかったのかという疑問がわいてきました。
彼女がこれらのシリーズを手がけた当時はGustavsberg社では、テーブルウェアの生産が全盛期でStig Lindbergを初め数多くのアーティストが作品を発表していました。そこで、自身の作品を発表し始めたばかりのLisaが意欲的にカップの創作に取り組んだのは必然だったと思います。
しかし、彼女の個性的なカップは受け入れられずJosefinは1アイテムのみを発表し短期間で終了しました。その後、動物のシリーズで人気が高まってきた彼女が満を持して発表したシリーズがMatildaだったのしょう。今回見てきたようにとても素敵なシリーズでしたが、商業的には成果を残せなかったようです。
その頃の事をLisaが晩年のインタビューの中で「あの頃、何人もの優秀なアーティストが競いあうようにテーブルウェア作品を発表していました。その中でヒットするテーブルウェアを作るのは簡単な事ではありませんでした。そこで私は、自分らしい作品を作り続ける事に集中しました。」といった内容の話をしています。
時代を超えて愛され続ける名作が生み出された背景には、このような様々なドラマが展開されていたのだと思います。
しかし、ここでもう一つ心に浮かぶのは、もしLisaがMatilda以降もテーブルウェアのデザインにこだわり続けたとしたら、今私たちが目にする事ができるあの生き生きとした動物や子供達に出会えなかったかもしれないということです。
生涯を創作活動に打ち込んだアーティストが、自分らしくあろうと貫き通してきたその人生に感謝せずにはいられません。



今回ご紹介したLisa Larsonのアイテムの詳細はこちらでご覧いただけます



過去の特集はこちらからご覧ください。

 
13th floor > Main > F.P.O. > file 7