Aster
とりわけ、一連のテーブルウェアのシリーズは高い人気を誇り、それらの多くは「Scandinavian Tablewares」など、今や伝説となった展示会等で発表され、当時から常に話題をさらっていました。
◆世界中が待ち望んだスティグ・リンドバーグの作品集がついに発行されました。 これまで気が遠くなりそうなほど高価な古書や、細い切れぎれの糸を紡ぐようににして長い時間をかけて辿ってきた彼の足跡が、まるで色とりどりの宝石がちりばめられたような一冊の本になりました。 スウェーデン語版なのですが、インデックスやマークの図解など得られる情報も多く、掲載されている写真のほとんどがスタジオ撮影された美しいもので、実際に目にすることは出来ない貴重な作品の質感も感じることが出来ます。 水彩画やドローイング、アクセサリーと幅広く紹介されていて、アーティストとしてのリンドバーグに焦点当てた内容にになっています。 内容としてはとても充実していて、マニアも納得できる見ごたえのある作品集ですが、筆者の女性らしい配慮がされた明るいレイアウトで、だれでも気軽に手に取れ、楽しめる構成になっています。
◆
size : Φ7.5×9×H5.5 cm(cup), Φ12.5×H2 cm(saucer)
>> Wilholme Kage をはじめとして、Friberg,Bjoquist,Lindberg など類い希な才能を持った作家達が、互いの才能を認めあい、刺激しあいながら、自身の表現を追求した Gustavsberg Studio。そんな湖畔の見える工房から生まれた作品達に、彼らの分身とも言える作品の証として、手書きでハンド・メイドを表す手の形と社名の頭文字「G」をあしらったサインが入れられています。
全面を覆う赤い釉薬はまるで今にも流れ落ちそうに流動的な模様が表れ、器の内側には緑青のような緑も散っています。 そして、真っ白い縁取りは2つの器が共鳴しているかのように統一感を与えています。 小さいながらも力強い作品です。
◆Lithograph
グレーの別珍を見事に染め上げたタペストリーです。展示会用に製作されたものといわれており、とても貴重な作品です。 背景がグレーで青系統の色のみで描かれていますが、なぜか温かい感じがするのはやはりLindbergの人柄が写し取られているからだと思います。 広めの壁や、廊下の突き当たりなどに掛けていただくと、お部屋の雰囲気を和らげてくれます。 上下に棒が通せるようなっています。
>> その名のとおりトカゲの鱗のような模様を表面全体にあしらったシリーズです。 わりに薄く、線の細い作りですが表面の模様が陰影をつくって、奥行きがある質感の高い仕上がりになっています。
>> 最も早くから日本に紹介されたアイテムの一つ、Domino シリーズのプレート。どっしりとした風格とリンドバーグの柔軟な想像力がうまく調和した好例といえます。50年代の息吹を直に感じ取れる一枚。
size : 7.5×7.5×1.5 cm スティグ・リンドベリもまたGustavsberg社のディレクターとしてH55にふかく関わっています。 パターンのバリエーションが楽しいリンドベリの「Domino」シリーズの一つで、Hをかたどったパターンに55が入れられた珍しいシリーズです。 リンドベリは他にも、「Terma」シリーズを発表するなど積極的に参加しています。
size : 15.3×15.3×2.5cm maker : Gustavsberg design : Stig Lindberg
オセロのコマのような対をなし、球形を半分に割ったような形でそれはたたずんでいます。 平らになった部分の端にそれぞれ小さな穴をもち、初めて実用品なのだと気づかされます。 その当時、人々がどんな驚いた顔でこのセットを眺めたかを想像すると、楽しいですね。
>> 古くから人々に親しまれ、今なお受け継がれているファイアンス焼きの技法。自由な造形と色鮮やかな彩色は、多くの作家達を夢中にさせてきました。Lindberg もその一人で、Fajansシリーズとして長年に渡り多くの作品を残しています。使い込んでいくうちに、しだいに現れてくる趣は、時間が織りなす宝石のようなもので、他の技法にはない手にした者のみが味わえる最高の贅沢のように思います。
◆ スープもしっかりいただけそうな大ぶりなCup&Saucerです。 植物の種子がふわふわと飛んでいるようなハート型のペイントもFajans独特のにじみが素敵な味を生み出しています。
◆ こちらはソーサーはなく、カップだけのご紹介です。 ブルーのタイプと同じデコレーションですがグリーンのにじみが更によく、柔らかい雰囲気を作り出してくれています。
◆ 水彩画のようなタッチできれいなお花が色とりどりに描かれたシリーズです。 Lindberg自身も気に入っていたのか、さまざまな形の器で作られています。 質感の良い釉薬に咲いた花を見ていると、Fajansの技法の特徴を活かしきったという感じがします。
◆ 手書きの模様の軽快さがFajans独特の質感を引き立たせてくれる色合いのプレートです。ポップなデザインの中にどこか落ち着く暖かみを感じさせてくれます。
◆1982にスウェーデンの国立博物館で開催された回顧展のポスターです。 もう28年にもなるのですね。 彼が旅立ってからすぐに開催された事からも、スウェーデンの人々にとってStig Lindbergというデザイナーがどれほど大きな存在であったかが伺えます。